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【カラー版】アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

【カラー版】アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

高野秀行

集英社 / 2007-03-25

累計読者数17
平均ハイライト数 33.5件/人
推定読了時間 約5時間16分
star総合評価 76/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 43%

この本について

仕事でも日常でも、自分の立っている場所がどれだけ「外側の事情」によって形づくられているのか、ふと分からなくなることがあります。数字や肩書きだけ追いかけていると、目の前の現実がどこか薄っぺらく感じるあの感覚です。そんなときに、まったく別世界に思えるはずのワ州の暮らしが、むしろ自分の曖昧さを照らしてくれる、という不思議な体験をしました。 『アヘン王国潜入記』は、アヘンや武装勢力といった強い言葉よりも、村の灯油ランプや、夫婦の不和や、祖先の霊に酒を捧げる習慣といった細部が刺さってきます。読者が抜き出した箇所を見ていると、「人はどんな環境でも、その中で折り合いをつけて生きるしかない」という当たり前の事実に、妙な説得力があるんですよね。たとえば、アヘン中毒よりも“精神的なワ州中毒”に陥る著者の描写は、外から見れば異質な世界にも、そこでしか成り立たない論理や優先順位があることを実感させます。また、戦争や貧困といった大きなテーマも、数字ではなく「灯油ランプを買える家が子どもの学力を左右する」といった生活単位で語られるから、自分ごととして読める。 結局、この本が効くのは、世界の複雑さに呆然としつつも「それでも人は生きていくしかない」という目線を取り戻したいときだと思います。遠い土地の話なのに、自分の生活の手触りが戻ってくる。そんな読書でした。こんな人に刺さるのは、答えより“現実の厚み”を求めているタイプの人です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

【電子版特別カラー写真収録】ミャンマー北部、反政府ゲリラの支配区・ワ州。1995年、アヘンを持つ者が力を握る無法地帯ともいわれるその地に単身7カ月、播種から収穫までケシ栽培に従事した著者が見た麻薬生産。それは農業なのか犯罪なのか。小さな村の暖かい人間模様、経済、教育。実際のアヘン中毒とはどういうことか。「そこまでやるか」と常に読者を驚かせてきた著者の伝説のルポルタージュ。電子版には特典写真23点を追加収録。
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