
モノ・サピエンス~物質化・単一化していく人類~ (光文社新書)
岡本 裕一朗
光文社 / 2006-12
この本について
消費に振り回されている感じというか、「本当に必要じゃないと分かってるのに、つい手を伸ばしてしまう」みたいな自分にモヤッとすること、けっこうありますよね。選択肢は増えているのに、自由になれている実感はあまりないし、自己決定と言われても、そんなに立派な判断を毎回できているわけでもない。そのあたりの違和感を言語化できずに抱えたまま、大人になってしまった気がしています。 『モノ・サピエンス』は、そういうモヤモヤに対して「あなたが悪いわけではなく、仕組みとしてそうなっているだけだよ」と静かに位置づけ直してくれる本でした。たとえば、使い捨て前提の消費行動を「浪費」とか「意志の弱さ」で片付けず、そもそも消費者社会が成り立つための前提だと説明してくれるところ。あるいは、自己決定と自己責任が強調される背景に、人間そのものが“モノ扱い”されやすい構造があると示してくれるところ。この視点を知るだけで、日々の選択に対して少し距離を取れるようになる感覚がありました。 もうひとつ印象的だったのは、「よい/悪い」も「正/不正」も、気づかないうちに「好き/嫌い」へと還元されてしまう情緒主義の話です。SNSでの議論がどこか噛み合わない理由や、他者の立場に想像で入り込む難しさが腑に落ちました。遠近法の比喩もあって、どの位置から見れば世界の形が変わるのか、冷静に考え直すきっかけにもなります。 自分の「判断力」や「消費との距離感」に不安がある人、あるいは社会の変化をうまく言葉にできないまま疲れている人には、じわっと沁みる一冊だと思います。
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多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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