
新釈 老子 (PHP文庫)
守屋 洋
PHP研究所 / 1983-03-30
この本について
忙しさに追われていると、気づけば「頑張る以外の選択肢が見えない」みたいな状態になります。立ち止まりたい気持ちはあるけれど、止まると不安になる。人との関わりでも、仕事の進め方でも、つい“正しさ”や“効率”に寄りかかってしまう。ぼく自身、その揺れの中で長く迷っていました。 『新釈 老子』が面白いのは、そういう“前へ進むしかない”という固定観念を、やわらかく崩してくれるところです。水のように低いところへ流れる、原木のように手を加えすぎない、相手を使い捨てにしない、そうした比喩が、あやふやな状況にどう身を置くかの手がかりになる。たとえば、仕事で判断に迷ったときに「無理に形にしようとしないほうがうまく回ることもある」と思えるだけで、肩に力が入りすぎず、周囲にもやさしくなれます。また、相手の粗を指摘して自分を守ろうとする癖がある人には、老子が孔子に贈った「自己主張を控えよ」という言葉が意外と実用的に響くはずです。衝突を避けるというより、自分をすり減らさない知恵に近い感覚です。 全体を通して、老子の思想は“弱くあることの強さ”を徹底しています。上を目指さず、足るを知り、争わず、減らす方向に身を置く。これだけ聞くと消極的に思えるかもしれませんが、戦乱の時代に弱者として生き延びるための、かなり現実的な戦略なんですよね。読んでいると、自分のなかの「こうあるべき」が少しずつほどけていく感覚があります。 変わりたいけど、力みたくない。そんな人に静かに効く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
読書の順序
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