
バルミューダ 奇跡のデザイン経営
守山久子、日経デザイン
日経BP / 2015-04-17
この本について
仕事で「ユーザーの声を聞け」と言われる一方で、聞けば聞くほど迷う。改善点ばかりが積み上がって、本当に何を良くしたかったのか分からなくなる。そんなモヤモヤが続くと、ものづくりも企画も“正解探し”になってしまって、手が動かなくなる瞬間があります。僕自身もそこで何度も止まってきました。 この本を読んで強く感じたのは、バルミューダは「何を作るか」を製品から逆算せず、人の生活や記憶のほうから考えているという姿勢でした。例えば、黒電話の重量感に宿る安心や工場のおじさんの無口な実直さまで含めて“良さ”として扱うところ。あるいは、加湿器に水を注ぐおばあちゃんの記憶から造形を考えるところ。スペック表では測れない感覚を、言語化と観察で丁寧に確かめていく過程がとても実務的で、読んでいて自分の仕事にも置き換えやすかったです。 もうひとつ印象的だったのは、ユーザー調査をしない理由が“迷うから”という正直さでした。外部データではなく、自分たちの観察と議論を徹底的に磨く。その結果として判断の責任もデザインの負荷も経営者自身が背負う。理想論ではなく、現場のスピードと意思決定の話として語られているのがありがたかったです。 根本的な価値をどう見極めるか、スペックではなく「気持ちよさ」をつくるには何を観察するのか。そんな視点が欲しい人に刺さる本だと思います。仕事の思考が詰まったとき、一度プロダクトの外側で起きている人の生活から考え直してみよう、そんな気持ちを静かに思い出させてくれました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの34%が集中しています。
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