
移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活 (講談社文庫)
高野秀行
講談社 / 2012-11
この本について
日常の中で「自分の当たり前って、他の人にとっても当たり前なんだろうか」とふと立ち止まることがありますよね。職場でも家庭でも、文化とか価値観の違いに触れると急に足場がぐらつく感じがして、うまく言葉にできないまま胸の奥にモヤモヤが残ることがある。僕もけっこうそれに悩むタイプです。 『移民の宴』は、そんなモヤモヤに静かに風を通してくれる本でした。ここに登場するのは“外国人”として一括りにされがちな人たちの、それぞれの生活と癖と喜怒哀楽です。例えば、失われたバラの庭を思い出しながら「残ったのは私だけ」と笑うアメリアさんの強さとか、日本に食材が山ほどあるのにあえて故郷の魚を輸入してしまうフィリピンの人の“食の帰巣本能”みたいな感覚とか。僕たちが見落としがちな「人は慣れたものに救われる」という当たり前が、丁寧に描かれていきます。 読みながら感じたのは、文化の違いを理解しようとする前に「その人がそこに至るまでの背景」をちょっとだけ想像するだけで、見える景色が変わるということでした。南アジアの人たちが炊き出しを続ける理由も、フランス人の“皿を拭き取るほど集中する食事”も、日本で暮らす外国人が「生活の質は最高」と言う背景も、どれも“生き方の筋”みたいなものがあるんですよね。それが分かると、自分の固定観念の輪郭が少しずつゆるむ感じがします。 異文化理解に疲れた人よりも、「そもそも自分の前提のほうを見直したい」となんとなく思っている人に刺さる本です。読んだあと、人との距離の取り方がほんの少しだけ柔らかくなると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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