
何者(新潮文庫)
朝井 リョウ
新潮社 / 2015-07-01
この本について
就活でも仕事でも、人と比べる場にいると、つい「ちゃんとしてる自分」を演じたくなりますよね。肩書きや経歴を並べて、弱さやカッコ悪さは見せないようにして。でもそのわりに、どこか空っぽで、誰の言葉を話しているのか自分でもわからなくなる瞬間がある。あの感覚って、けっこうしんどいです。 『何者』を読むと、そのしんどさの正体が少し見えてきます。登場人物たちは、SNSでも面接でも、自分を盛ったりごまかしたりしながら、それでも立っていようと必死にもがきます。その姿が、きれいごとじゃなくて生々しい。たとえば「たいしたものではない自分を、たいしたもののように話し続けなくてはならない」という苦しみや、「カッコ悪いままあがくしかない」という開き直りに近い覚悟。どれも、自分の中にもあるものだと気づかされます。 この本が効くのは、理想の自分に寄せすぎて息切れしているときです。誰かに想像してもらうための“キャラ”じゃなくて、点でも二十点でもいいから、自分の言葉でしか出せないものって何だったっけ、と立ち止まれる。特に「今の自分の線路を、同じ高さで一緒に見てくれる人はもういない」という場面は、人との距離感が変わっていく大人の現実を静かに突きつけてきます。 刺さるのは、就活というより“自分を演じることに疲れた大人”。派手な成功の話じゃなく、カッコ悪いまま踏ん張っている誰かの姿を通して、自分の足でどこに立つのかを考えるきっかけになります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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