
低欲望社会 ~「大志なき時代」の新・国富論~(小学館新書)
大前研一
小学館 / 2015-04-28
この本について
将来のことを考えると、どうしても気持ちが縮こまる時があります。貯金はしているつもりでも不安は消えないし、給料が少し上がったところで、何かが劇的に変わる感じもしない。周りを見ても、みんな慎重で、どこか「欲望を出すのは危ない」と思っているような空気があります。自分だけの問題じゃないはずなのに、なぜこんな閉塞感が続くんだろう、と思ってしまうんですよね。 この本が面白いのは、「低欲望」という言葉で、今の日本の空気をそのまま説明してくれたところでした。住宅ローンの金利がいくら下がっても誰も動かない理由や、消費が伸びない背景にある“漠然とした将来不安”を、制度やデータの話とセットで整理してくれるので、自分の感覚が個人の弱さではなく、国全体の構造から来ているものだとわかる。視点が少し広がるだけで、無駄に自分を責めなくなるんですよね。 また、著者は批判だけで終わらず、税制や都市開発、農業など、かなり大胆な改革案を出しています。全部がすぐ実現するとは思わないけれど、「もし社会がこう動いたら、自分の働き方やお金の使い方はどう変わるだろう」と考えるきっかけになる。個人としても、投資をどう分散するか、どんな産業が息の長い伸び方をするのか、といった“生き延びるための視点”が自然と鍛えられる感覚がありました。 今の日本の停滞感に違和感を覚えている人、あるいは「自分の慎重さは性格の問題なのか?」と悩んでいる人には、かなり刺さる一冊だと思います。
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