
誰がアパレルを殺すのか
杉原 淳一 and 染原 睦美
日経BP / 2017-05-25
この本について
最近、「なんで服ってこんなに作られて、こんなに余るんだろう」とか、「店に並ぶものがどれも似ていて選ぶ気がしない」とか、そんな小さな引っかかりを抱えたまま買い物している人、けっこう多い気がします。自分もその一人で、なんとなくモヤモヤしたまま業界のニュースを眺めていました。 『誰がアパレルを殺すのか』は、このモヤモヤの正体を、川上から川下まで具体的なエピソードでつないでくれる本でした。百貨店が在庫リスクをほぼ負わない構造や、売れ筋づくりではなく“売れ筋探し”に追われていった企業の姿、さらにはアウトレットやバッタ屋が成立してしまう背景まで、部分的に知っていた事実が一本の線でつながる感じがあります。読んでいて、自分が「なんとなく感じていた不自然さ」が、ちゃんと説明できる言葉になっていく感覚がありました。 同時に、ユナイテッドトウキョウの原価率の話や、ミナペルホネンの持続可能なものづくり、エバーレーンのオンラインSPAなど、今ある選択肢の違いが「仕組みの違い」から生まれていることも理解しやすい。例えば、値段の差や品質の差を“雰囲気”ではなく“どういう工程を選んだか”で捉えられるようになるだけで、買う時の判断がだいぶ楽になります。 業界を批判する本というより、「自分が普段見ている服の裏側で、何がどう動いているのか」を淡々と教えてくれる本です。買い物に違和感がある人、仕事で在庫や企画に悩んでいる人ほど刺さると思います。読後は、たった一枚の服でも、前よりちゃんと理由を持って選べるようになります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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