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ラピスラズリ (ちくま文庫)

ラピスラズリ (ちくま文庫)

山尾悠子

累計読者数5
平均ハイライト数 15.2件/人
推定読了時間 約5時間40分
star総合評価 49/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 25%

この本について

日々やることに追われていると、自分の感情の輪郭がぼやけてきて、「いまの自分って本当は何を感じているんだろう」と立ち止まりたくなることがあります。忙しさはごまかせても、ふとした瞬間に昔の匂いとか、誰かの声とか、触れたはずのない記憶がひょいと立ち上がってくるあの感じ、けっこうしんどいんですよね。 山尾悠子『ラピスラズリ』は、その“立ち上がってしまった記憶”に触れてしまう感覚を、そのまま紙の上に移したような本です。母の香水の気配が急に顔を覆ったり、煤けた駅舎の匂いが遠くからよみがえったり、雪を舌にのせる冷たさがやけに現実的だったり。読んでいると、こちらの内側に沈んでいた時間がゆっくり動き出すようなところがあって、忘れていたはずの「昔の自分」を拾わされる瞬間が何度もありました。嫌でも向き合わされるというより、静かに肩を叩かれるような距離感です。 物語のなかで〈冬〉が繰り返し語られるのも象徴的で、厳しさそのものというより、声が届かない世界にぽつんと取り残されるあの感じに近いと思います。孤独や違和感を抱えた登場人物たちが、それでもどこかで誰かの言葉に救われたり、知らない景色に一瞬だけ灯りを見るような場面があって、そこが妙に現実的なんです。読後に「いまの自分の世界だって、もう少しだけいとしいと思っていいのかもしれない」と思えるのは、この本の静かな力だと思っています。 現実と記憶の境目が曖昧なまま生きている気がする人に、とくに刺さる本です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

パワーストーン雑貨店「ミネラルズ」でアルバイトをしている女子大生・雫石璃子。キャンパス内で不思議な事件に遭遇したとき、彼女は鉱物学者の兄・英介に相談を持ちかける。璃子の通う大学に勤務する准教授にして極度の石オタクだが、鋭い洞察力で鮮やかに謎を解き明かしていく。推理を彩るのは、インカローズやアマゾナイト、アクアオーラ、アメジストなど、数々のパワーストーン!
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