
サカナとヤクザ ~暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う~
鈴木智彦
小学館 / 2018-10-16
この本について
仕事でも生活でも、「表からは見えない構造って、どれくらい自分の判断に影響してるんだろう」と思うことがあります。誰が得して、誰が泣いて、どこで線がねじれているのか。分からないまま流されている感じが続くと、足元の感覚がぼやけてくるんですよね。 『サカナとヤクザ』は、密漁という一見「自分とは無関係そうな世界」を追っているんですが、読んでいると、社会の裏側の力学がそのまま縮図として現れていることに気づきます。昔の密漁者が漁師に迷惑をかけないよう気を遣っていたのに、今は「短期で荒稼ぎ」へ傾く流れ。海保やダイビングショップが双方に情報を渡さざるを得ない曖昧な関係。暴力団を利用する市民や官僚が存在し、誰か一人を悪者にして済む話ではない複雑さ。こういう描写に惹かれた人は、たぶん世界の“線引きの曖昧さ”に日々モヤモヤしているはずです。 読み進めて気づくのは、善悪の話ではなく、「人はどうやって自分の立場を正当化するのか」という視点の変化です。北方領土を失った根室の人々が越境漁を“大義”と感じる空気や、押収された道具を密漁団が買い戻していたという現実の滑稽さ。資源管理ひとつ取っても、データが揃わないまま消費者が判断を迫られるウナギの話が象徴的で、きれいな答えがない世界でどう立つかを考えさせられます。 社会の裏側を知りたいというより、「曖昧なままの世界で自分のモノサシを持ちたい人」に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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