
対馬の海に沈む (集英社学芸単行本)
窪田新之助
集英社 / 2024-12
この本について
仕事でも日常でも、「なんでこんな組織の判断になるんだろう」とか、「個人の責任と組織の空気の境目ってどこなんだろう」と、割り切れない場面に出くわすことがあります。正しさより“場の流れ”が勝ってしまうとき、自分は何を見落としているのか…そんなモヤモヤが溜まっていく感じ、僕もよくあります。 『対馬の海に沈む』を読んでまず感じたのは、一人の不正の話に見えて、実際は「組織がどう歪んでいくか」の記録に近いということでした。読者の方が残した抜粋に、個人が暴走しただけでは説明できない構造的な問題への驚きが多く含まれていて、そこにこの本の核心がある気がします。誰もが薄々気づきながら口をつぐむ空気、ノルマに振り回されるうちに倫理が後ろに押しやられていく感覚、そして最後には“関係者全員の手”が一人を追い詰めていく怖さ。自分の職場でも思い当たる場面をどうしても重ねてしまいました。 読むことで劇的に行動が変わるというより、「組織の中で自分がどこに立っていて、どこに流されやすいのか」を静かに見直すきっかけになる本だと思います。正義感を振りかざす話ではなく、曖昧な空気が積み重なって形になる過程を丁寧に追ってくれるので、他人事にしづらい。僕自身、普段の職場で“何も言わない”という選択がどんな重みを持つのか、少し立ち止まって考えるようになりました。 組織の理不尽さに飲まれやすい人、または見て見ぬふりをしてきた自覚がある人ほど静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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