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対馬の海に沈む (集英社学芸単行本)

対馬の海に沈む (集英社学芸単行本)

窪田新之助

集英社 / 2024-12

累計読者数16
平均ハイライト数 15.9件/人
star総合評価 65/100
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この本について

仕事でも日常でも、「なんでこんな組織の判断になるんだろう」とか、「個人の責任と組織の空気の境目ってどこなんだろう」と、割り切れない場面に出くわすことがあります。正しさより“場の流れ”が勝ってしまうとき、自分は何を見落としているのか…そんなモヤモヤが溜まっていく感じ、僕もよくあります。 『対馬の海に沈む』を読んでまず感じたのは、一人の不正の話に見えて、実際は「組織がどう歪んでいくか」の記録に近いということでした。読者の方が残した抜粋に、個人が暴走しただけでは説明できない構造的な問題への驚きが多く含まれていて、そこにこの本の核心がある気がします。誰もが薄々気づきながら口をつぐむ空気、ノルマに振り回されるうちに倫理が後ろに押しやられていく感覚、そして最後には“関係者全員の手”が一人を追い詰めていく怖さ。自分の職場でも思い当たる場面をどうしても重ねてしまいました。 読むことで劇的に行動が変わるというより、「組織の中で自分がどこに立っていて、どこに流されやすいのか」を静かに見直すきっかけになる本だと思います。正義感を振りかざす話ではなく、曖昧な空気が積み重なって形になる過程を丁寧に追ってくれるので、他人事にしづらい。僕自身、普段の職場で“何も言わない”という選択がどんな重みを持つのか、少し立ち止まって考えるようになりました。 組織の理不尽さに飲まれやすい人、または見て見ぬふりをしてきた自覚がある人ほど静かに刺さる一冊です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

2024年第22回開高健ノンフィクション賞受賞作。 JAで「神様」と呼ばれた男の溺死。 執拗な取材の果て、辿り着いたのは、 国境の島に蠢く人間の、深い闇だった。 【あらすじ】 人口わずか3万人の長崎県の離島で、日本一の実績を誇り「JAの神様」と呼ばれた男が、自らが運転する車で海に転落し溺死した。44歳という若さだった。彼には巨額の横領の疑いがあったが、果たしてこれは彼一人の悪事だったのか.........? 職員の不可解な死をきっかけに、営業ノルマというJAの構造上の問題と、「金」をめぐる人間模様をえぐりだした、衝撃のノンフィクション。 【選考委員大絶賛】 ノンフィクションが人間の淋しさを描く器となれた、記念すべき作品である。 ──加藤陽子(東京大学教授・歴史学者) 取材の執拗なほどの粘着さと緻密さ、読む者を引き込む力の点で抜きん出ていた。 ──姜尚中(政治学者) 徹底した取材と人の内なる声を聞く聴力。受賞作に推す。 ──藤沢周(作家) 地を這う取材と丁寧な資料の読み込みでスクープをものにした。 ──堀川惠子(ノンフィクション作家) 圧巻だった。調査報道の見本だ。最優秀な作品として推すことに全く異論はない。 ──森達也(映画監督・作家) (選評より・五十音順) 【著者プロフィール】 窪田新之助(くぼたしんのすけ) ノンフィクション作家。1978年福岡県生まれ。明治大学文学部卒業。2004年JAグループの日本農業新聞に入社。国内外で農政や農業生産の現場を取材し、2012年よりフリーに。著書に『データ農業が日本を救う』『農協の闇(くらやみ)』、共著に『誰が農業を殺すのか』『人口減少時代の農業と食』など。
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