
しんがり 山一證券最後の12人 (講談社+α文庫)
清武英利
講談社 / 2013-11-13
この本について
仕事をしていると、「これ、おかしくないよな…」と思いながらも、声を上げた瞬間に組織から浮いてしまう気がして、結局のみ込んでしまう場面ってあります。正しさより立場が優先され、まじめな人ほど苦しくなるあの感じ。自分も何度か経験があって、読者の方の抜粋を見て、同じところで引っかかっているんだろうなと思いました。 『しんがり』は、巨大組織の崩壊を描いたノンフィクションですが、派手な“企業不祥事の裏側”よりも、むしろ現場の普通の社員が何に葛藤していたのかがじわっと残る本でした。経営陣の保身や、声を上げた人が弾かれていく構図は、業界が違っても既視感がありすぎます。たとえば、無茶な営業を拒んだ人ほど評価されずに去っていく話や、「帰還不能点」を越えてしまった瞬間の空気感など、組織の歪みがどんなふうに人を追い詰めていくのかが、具体的な場面として積み重なっています。 とはいえ、この本は単なる悲劇の記録ではありません。最後まで会社を見捨てなかった“しんがり”の人たちが、混乱の中でどんな判断をし、どう踏ん張ったのか。その姿勢に触れると、自分の働き方や、「どこで線を引くのか」という感覚が少し整うようなところがあります。正義感とか理想論ではなく、現実の中での選択の重さがそのまま描かれているからだと思います。 組織の中で「このままでいいのかな」と密かに悩んでいる人ほど、この本は静かに効くはずです。
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