
不道徳的倫理学講義 ──人生にとって運とは何か (ちくま新書)
古田徹也
筑摩書房 / 20190507
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この本について
「どこまでが自分の責任で、どこからが運なのか」。仕事で判断ミスをしたときや、たまたま起きた出来事に妙な罪悪感を抱いてしまうとき、わりと境界が曖昧なまま過ごしているなと感じます。理性的に考えれば「仕方ない」と言えるはずなのに、気持ちが追いつかないあのズレ。たぶん、この本の抜粋が刺さった人は、まさにその曖昧さに日々悩んでいるのだと思います。 古田さんの『不道徳的倫理学講義』は、そのズレを「甘え」とも「気にしすぎ」とも片づけず、そもそも人間の生活は運に深く左右されるという前提で読み解いてくれます。たとえば、結果に運が混ざる以上、行為の評価を意図や計画の段階に置くしかないというスミスの見方は、「結果だけで自分を責めがち」な人の呼吸を少しだけ軽くしてくれます。また、逆に運の存在を徹底的に排除しようとしたカントやストア派の思想に触れると、「切り離せる部分」と「切り離せない部分」が立体的に見えてきます。さらに、ウィリアムズが示す“均質な世界観”の話を読むと、当事者である自分と傍観者の距離が消えてしまう怖さに、心当たりがある人も多いはずです。 結局のところ、この本は“どう生きるべきか”を教える本ではなく、“自分の反応がなぜこうなるのか”を丁寧にほどいてくれる本です。自分の責任感や罪悪感の揺れに説明のつかないモヤモヤを抱えている人には特に刺さると思います。
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出版社による紹介
私たちの人生を大きく左右する「運」。その是非をめぐる古代から現代までの議論をたどり、あるがままの人間の生のあり方を探る。
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