
幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書)
梶谷 懐 and 高口 康太
NHK出版 / 2019-08-10
この本について
最近、AIやアルゴリズムの話を聞くたびに「便利になっていくはずなのに、なんだか不安になる瞬間」がありませんか。誰に評価され、どんな基準で判断されているのか、自分でもよく説明できないまま生活が最適化されていく感じ。僕自身もその違和感を言語化できずにいた時期がありました。 『幸福な監視国家・中国』は、そのモヤモヤをいきなり解決してくれる本ではありませんが、「いま何が起きているのか」を現実の制度や文化と結びつけて見せてくれます。例えば、中国がものすごいスピードで社会実装を進められる理由が、単なる政治体制だけではなく、功利主義的な空気や“公と私のズレ”といった土壌にあること。あるいは、私たち自身も知らぬ間に功利主義的な価値観で人権や制度を語ってしまっていること。このあたりを具体的な場面で示されると、自分が立っている足場が少しクリアになる感覚がありました。 そしてもうひとつ刺さったのは、「アルゴリズムが人の行動を予測する」と言われると未来の話に聞こえるけれど、その裏では“セグメントに押し込まれる個人”という危うさがすでに現実化しているという視点です。便利さと引き換えに何を渡しているのか、これを自分の生活に引き寄せて考えるきっかけになります。 社会の変化に置いていかれたくないけれど、単純な善悪では語れないテーマにモヤモヤしている人に、静かに効く本だと思います。
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