
人口減少社会のデザイン
広井 良典
東洋経済新報社 / 2019-09-20
この本について
最近、人口減少とか地方のシャッター通りとか、よく耳にはするのに「結局、原因って何なんだろう…」とモヤモヤしたまま過ごしていました。自分の生活にも影響しているはずなのに、どこか遠い話みたいに感じてしまうあの感覚です。でも『人口減少社会のデザイン』を読んでみて、あれは“自然現象”じゃなくて、社会のつくり方そのものの問題なんだと腹落ちしました。 特に刺さったのは、人口減少そのものよりも「若者が暮らせない環境が放置されてきたこと」が少子化を招いている、という視点でした。結婚した夫婦の子どもの数は昔とほぼ変わらない、という地味だけど重要な事実もあり、思い込みがひっくり返されます。また、日本の都市が“居場所のなさ”を抱えていることも印象的でした。見知らぬ人同士が声をかけない、道を譲らない、ありがとうと言わない。こういうささいな行動の積み重ねが、社会の「孤立度」を押し上げていると知ると、普段の光景が違って見えてきます。 さらに、東京一極集中が未来を左右する分岐点になっているという指摘も、個人の生活レベルに引き寄せて考えられる内容でした。地方分散のほうが健康や幸福度の面で望ましいというシミュレーションも示されていて、「日本はこうあるべき」ではなく、「自分ならどんな街に住みたいか」という問いに自然と向き合わされます。 人口や政策の話と聞くと身構えそうですが、この本は“日々の違和感の理由”が静かに言語化されていく感覚がありました。都市の暮らしにどこか疲れている人や、将来の日本のイメージがぼんやりして不安な人には、とても刺さると思います。
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