
チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学
小川 さやか
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この本について
人と関わるとき、「どこまで踏み込んでいいのか」「頼られると負担に感じるのに、自分も誰かを必要としてしまう」といった距離感の難しさに、私もよくつまずきます。相手を信頼しすぎても危ういし、避けすぎても孤立する。その中間がどこにあるのか、ずっと探していました。 『チョンキンマンションのボスは知っている』を読んで感じたのは、彼らが営んでいる関係性は、こちらが想像する「信頼」とはまるで違うということです。深く知り合うわけでもなく、肩入れしすぎるわけでもなく、状況ごとに限定的な距離を置きながら、それでも助けたり頼ったりしている。しかも「ついで」を組織するように、負い目を最小限にする工夫が何気なく仕込まれている。そのやり方を見ていると、関わりすぎて疲れる自分には、もっと調整の仕方があったんだと気づかされます。 もうひとつ刺さったのは、彼らが互いの素性を深掘りしない姿勢です。知らないことで守られる関係もあるし、知らないふりをするのも優しさになる。こちらが「わからなさ」を怖がりすぎていたのかもしれないと思いました。 人間関係の距離感で悩みやすい人や、「助け合い」にどこか居心地の悪さを覚えてきた人には、静かに効く本です。自分の生活にも持ち帰れる視点がいくつか見つかると思います。
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