
去られるためにそこにいる---子育てに悩む親との心理臨床
田中 茂樹
この本について
子どもの「問題っぽい行動」を前にすると、どうしても親として何かしなきゃと思ってしまいますよね。寝る時間がずれたり、学校に行けなかったり、言い返してきたり。放っておいていいのか、口を出すべきなのか、その境目が本当に分からなくなる時があります。僕自身も「このままで大丈夫なのかな」と不安に振り回されることがよくあります。 『去られるためにそこにいる』が静かに効いてくるのは、子どもの行動を“すぐに直すべき問題”として見る目線を少しずらしてくれるところです。たとえば、体調不良や不注意に見える行動に、言葉にできない不安がにじんでいるかもしれないという視点。あるいは、昼夜逆転のように見える行動の背景に「自分で決めてみたい」という小さな自己決定が育っているかもしれないという見方。すぐに結果が変わらなくても、子どもの内側で何が起きているのかに目を向け直すだけで、こちらの焦りが少しゆるむんですよね。 そしてもう一つ、この本がそっと背中を押してくれるのは、「去られても大丈夫な大人としてそこにいる」という姿勢です。甘えたい時には受け入れ、離れようとするときにはしがみつかない。言葉にすると簡単ですが、実際にはなかなかできません。でも、子どもに安心して戻ってこられる場所をつくるのは、派手な関わりよりずっと大事なんだと感じさせられます。 子どもの行動の奥にあるメッセージを知りたい人、そして「親として揺れながらも寄り添っていきたい」と思っている人には、特に静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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