
介護未満の父に起きたこと(新潮新書)
ジェーン・スー
新潮社 / 2025-08-20
この本について
親の生活が少しずつ危なっかしくなってきたとき、どう距離を取ればいいのか、正解が見えないまま気持ちばかりが疲れていくことがあります。いざ手を出そうとすると、思った以上に物が多くて、思った以上に本人が非協力的で、思った以上にこちらがイラッとする。そんな「介護未満」の時間をどう扱えばいいのか、ずっと迷っている人は多い気がします。 ジェーン・スーさんの『介護未満の父に起きたこと』は、その曖昧な時期のリアルを隠さず書いている本です。キッチンや玄関のサイズをメジャーで測りまくって棚を選ぶような地に足のついた工夫や、「捨てていい」と言われたものでも本当に捨てるとトラブルになるという身も蓋もない現実、写真を使って食事の状況を共有するという発想など、読みながら「そう、そこなんだよ…」と妙に腑に落ちる場面が何度も出てきます。親の生活を“全部は変えられない”という前提で、何を諦めて何を整えるかを淡々と試していく姿勢に、肩の力がすっと抜けました。 そして何より、この本は「親だから通じるはず」「説明すればわかるはず」といった期待を一度横に置くきっかけになります。距離を縮めればうまくいくわけでもなく、逆に適度な距離がないと関係ごと潰れてしまう。そんな割り切り方に救われる人は多いはずです。 遠方に住む親の生活が気になりつつも、どう関わればいいのか迷っている人に、とても静かに効く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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