
哲学探究
ルートウィッヒ・ウィトゲンシュタイン and 鬼界彰夫
教育評論社 / 2014-05-06
この本について
仕事でも日常でも、言葉にした途端に「なんか違うな…」という感覚が残ることがあります。自分の考えを説明しているはずなのに、どこか噛み合わない。相手も自分も悪くないのに、もやっとした誤差だけが残る。あの手の感覚にずっと悩んでいる人は多いと思います。 『哲学探究』は、その誤差の原因を“自分の思考の癖がどんな前提に乗っているか”というところまで下げて見せてくれる本でした。たとえば、同じ図形を違うものとして見てしまうように、言葉の使い方も気付かないまま別の前提で解釈しているだけかもしれない、という示し方。あるいは、「私が痛いと言うのはどんな基準によるのか?」といった問いのように、普段なら考えもしない根っこに触れさせられる瞬間があります。 読んでいて強く感じたのは、著者が“考え方を授ける”のではなく、“自分で考える回路を作り直すきっかけを渡してくる”という距離感です。感覚や記憶、言語の働きそのものをいったんバラし、もう一度どう組み上がっているかを手元で確かめるような読書体験でした。思考が絡まったときに、どこでつまずいているのかを見つけやすくなる感覚があります。 自分が感じたことをどう言葉に乗せればいいのか迷いやすい人、あるいは「そもそも自分は何を前提にものを見ているんだろう」と立ち止まることの多い人には、とても静かに効く本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの15%が集中しています。
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