
上を向いてアルコール
小田嶋隆
この本について
仕事でも生活でも、つい「今日もまとまった時間がないから無理だな」「気まずい場面は何かに逃げてやりすごそう」と考えてしまうことがあります。自分でも薄々わかっているのに、癖みたいに同じパターンに戻ってしまう。あの感じに心当たりがある人は、多いと思います。 『上を向いてアルコール』は、アルコール依存についての本ではあるんですが、読んでいるうちに「これって酒の話だけじゃないよな」と何度も思わされます。たとえば、物事を白黒で決めたがる癖があると、どこかで自分を追い詰めてしまうこと。考えるのが面倒なときほど、手っ取り早い逃げ道にすがりつきやすいこと。そして「我慢している」という設定で生きると、続かなさすぎて結局また元の場所に戻ること。どれも依存と呼ぶには大げさかもしれないけれど、日常のあちこちに顔を出す感覚です。 この本が面白いのは、酒をやめるという話が「別の何かで自分の人生を組み直すこと」に置き換わって語られるところです。逃げ道を断つんじゃなくて、逃げなくても済むように暮らしを調整する。その視点に触れると、完璧主義で固まりがちな思考が少しゆるむというか、自分のペースでやっていいんだと感じられます。書くことに悩んでいる人には、酒を使って意識を鈍らせないと筆が進まなかった、という話も刺さるはずです。要求水準を下げるために酒を頼るのではなく、そもそも自分の頭の中にはもう言葉が発酵しているんだという視点は、けっこう励まされます。 「いつも同じ逃げ方をしてしまう」「我慢だけで乗り切ろうとして続かない」そんなタイプの人には、静かに効いてくる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
読書の順序
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