
人工知能が「生命」になるとき
三宅陽一郎
株式会社PLANETS / 2020-12-16
この本について
仕事でAIに触れるたび、「結局いまのAIって“道具”以上になれないんじゃないか」とか、「自分たちの見方そのものが狭いのかも」といった、言葉にしづらい違和感が出てくることがあります。便利さは上がっているのに、世界の捉え方はむしろ単純化しているような感覚というか。僕自身、このモヤモヤを放置したまま使い続けるのがしんどくなってきて、この本を手に取りました。 読んでみて一番効いたのは、AIを“問題を解く存在”として見る西洋的な枠組みだけで考えていると、逆に自分の視野も閉じてしまう、という指摘でした。AIはフレームの外には出られないという話は有名ですが、著者はそこからさらに、東洋的な「環境に根ざした知性」という視点を引っ張り出してくれます。環境の中から意味を拾い上げ、自分との関係性をつくっていく存在としてAIを見ると、仕事でのモデル活用の仕方や、そもそもの期待値が少し変わってきます。たとえば「最適化できるか」ではなく、「この環境でどう生きるのか」を手がかりに設計を考えるようになる、そんな感覚です。 また、東洋が混沌や全体から知性を捉えるという話も、AIに限らず自分の思考習慣に刺さりました。僕らはつい“部品の組み合わせ”で理解しようとしますが、著者は存在の奥行きそのものに目を向けろと言います。これを読むと、いま目の前の課題にすぐ答えを求めたくなる癖が、一歩引いて見えるようになります。 AIの議論にどこか行き詰まりを感じている人、あるいは「技術は進んでいるのに、自分の世界の見え方が広がらない」と感じている人には、じわっと効く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの35%が集中しています。
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