
キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘 (講談社ノベルス)
西尾維新
講談社 / 2023-02-08
この本について
仕事でも日常でも、自分の想定の外側からいきなり理不尽が飛んでくる時ってありますよね。こっちが気をつけていても、他人の悪意や偶然の一撃までは防げない。頭では分かっていても、心が追いつかないまま「なんでこうなるんだろう」と呟いてしまうあの感じ、けっこうしんどいと思います。 『キドナプキディング』を読んでいて、保存されていた「安全装置も悪意の前ではただの灯火」という一文に、同じ種類のざわつきを覚えている人が多いのかなと感じました。自動運転のパラドックスや景観条例の話、古きよき自動車文化や事件の法的な言及まで、表面的にはバラバラに見えるのに、実際は“世界は制御できない”という前提を静かに突きつけてくるんですよね。そこにいるキャラクターたちの無力さと、それでも歩く姿が、現実への距離感を整えてくれるように感じます。 この本が効くのは、世界の複雑さに飲まれそうになったとき、少し俯瞰する“余白”を取り戻せるところだと思います。たとえば一つは、事件や制度や歴史が細かく散りばめられていて、自分の考えがどれだけ狭い範囲に閉じていたかに気づけること。もう一つは、人の悪意も偶然も完全には防げないと受け入れつつも、それでも関係や会話を積み重ねるキャラクターたちを通して、現実との向き合い方が少しだけ柔らかくなること。神妙に構える必要もなく、ただ物語に任せて読んでいるうちに視野が広がっていく感じです。 刺さるのは、「理不尽にうまく距離をとりたい人」。世界の雑音に疲れたときに読むと、ひっそり効いてきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
読書の順序
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