
日本の死角 (講談社現代新書)
現代ビジネス
講談社 / 2023-05-18
この本について
最近よく、「海外ではこうしているらしい」とか「日本もシリコンバレー型に動くべきだ」といった議論を見るたびに、どこか引っかかる感じがありました。自分の周りの現実と話が噛み合わないというか、前提がすっぽり抜けているようなモヤモヤです。地方の停滞も、教育の迷走も、個人の努力だけでは説明しきれないのに、気づくと自分のせいにしてしまう癖もあります。 『日本の死角』は、その抜け落ちた前提を一つずつ拾い直してくれる本でした。特に刺さったのは、教育や格差を語るときに「状況の違い」を飛ばすと議論がゆがむ、という指摘です。米国の大学が田舎に立ち、カレッジタウンという特殊な文化をつくっていること。住宅政策の歪みが地域の人種構成そのものを決めてきたこと。こうした文脈を知らないまま「ハーバードで見た」体験談を輸入しても、現実にはどうにも馴染まない。日本に合わないのは自分の能力ではなく、構造の差そのものなんだと腹落ちしました。 もう一つは、若い世代が「全方位のつながり」ではなく、必要な部分だけ共有する関係を作っているという話です。地元に残る人がより従順さを求められる空気や、能力のある若者ほど外に出ていく流れも含め、日常で感じていた違和感を言葉にしてもらったようでした。 海外に惹かれつつも、単純な比較論に疲れている人。日本の停滞を「個人のせい」にしたくない人。そんな人に静かに効く本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの41%が集中しています。
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