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日本の死角 (講談社現代新書)

日本の死角 (講談社現代新書)

現代ビジネス

講談社 / 2023-05-18

累計読者数4
平均ハイライト数 32.8件/人
推定読了時間 約3時間
star総合評価 64/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 30%

この本について

最近よく、「海外ではこうしているらしい」とか「日本もシリコンバレー型に動くべきだ」といった議論を見るたびに、どこか引っかかる感じがありました。自分の周りの現実と話が噛み合わないというか、前提がすっぽり抜けているようなモヤモヤです。地方の停滞も、教育の迷走も、個人の努力だけでは説明しきれないのに、気づくと自分のせいにしてしまう癖もあります。 『日本の死角』は、その抜け落ちた前提を一つずつ拾い直してくれる本でした。特に刺さったのは、教育や格差を語るときに「状況の違い」を飛ばすと議論がゆがむ、という指摘です。米国の大学が田舎に立ち、カレッジタウンという特殊な文化をつくっていること。住宅政策の歪みが地域の人種構成そのものを決めてきたこと。こうした文脈を知らないまま「ハーバードで見た」体験談を輸入しても、現実にはどうにも馴染まない。日本に合わないのは自分の能力ではなく、構造の差そのものなんだと腹落ちしました。 もう一つは、若い世代が「全方位のつながり」ではなく、必要な部分だけ共有する関係を作っているという話です。地元に残る人がより従順さを求められる空気や、能力のある若者ほど外に出ていく流れも含め、日常で感じていた違和感を言葉にしてもらったようでした。 海外に惹かれつつも、単純な比較論に疲れている人。日本の停滞を「個人のせい」にしたくない人。そんな人に静かに効く本だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

いま日本はどんな国なのか? 私たちはどんな時代を生きているのか? 意外と見えていなかった「日本の謎と論点」 【本書のおもな内容】 ●「日本人は集団主義」という幻想 ●中国で見た「日本衰退の理由」 ●なぜ若者は結婚しないのか? ●「ハーバード式・シリコンバレー式教育」の落とし穴 ●日本の学校から「いじめが絶対なくならない構造」 ●地方で拡大する「移動格差」 ●「死後離婚・夫婦別墓」の時代 ●「中国の論理」に染まるエリート学生たち ●若者にとって「個性的」が否定の言葉である理由 ●なぜご飯は「悪魔」になったのか? ●「ていねいな暮らし」ブームと「余裕なき日本社会」 ●災害大国の避難場所が「体育館」であることの違和感 ●女性に大人気「フクロウカフェ」のあぶない実態 ●性暴力加害者と被害者が対面したらどうなるのか? ●アフリカ人と結婚した学者が考える「差別とは何か」 ●“褐色肌・金髪・青い眼”のモデルが問う「日本社会の価値観」 「『移動できる者』と『できない者』の二極化が進んでいる。かならずしも地方から出る必要がなくなるなかで、都会に向かう者は学歴や資産、あるいは自分自身に対するある種無謀な自信を持った特殊な者に限られているのである。 問題は、そのせいで地方社会の風通しが悪くなっていることである。学歴に優れ、資産を持つ『社会的な強者』だけが抜けていく地方になお留まる人びとには、これまで以上に地元の人間関係やしきたりに従順であることが求められる。 結果として、地方では『地域カースト』とでも呼べるような上下関係が目立つようになっている。移動の機会の減少は、それまでの人間関係を変え、ちがう自分になる可能性を奪う。その結果、親の地位や子どものころからの関係がより重視される社会がつくられているのである」――「日本人が『移動』しなくなっているのはナゼ? 地方で不気味な『格差』が拡大中」より
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