ヨムナビ
ハンチバック (文春e-book)

ハンチバック (文春e-book)

市川 沙央

文藝春秋 / 2025-10-07

累計読者数24
平均ハイライト数 6.2件/人
推定読了時間 約1時間24分
star総合評価 48/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 25%

この本について

仕事でも日常でも、自分ではどうしようもない「前提」に押しつぶされそうになるときがあります。努力以前のところで差がついてしまう感じとか、わかっていても比べてしまう自分とか。そういう時期ほど、言葉を選ぶのも疲れてきて、理解されない側に立たされる息苦しさをそのまま抱え込んでしまうんですよね。 『ハンチバック』は、そこに真正面から踏み込んできます。読者が保存した抜粋を見るだけで、この作品が「障害」や「弱者」という言葉の外側にある、もっと細かい痛みや苛立ちを丁寧に掬っているのが伝わると思います。紙の本にすら憎しみを感じてしまう身体の事情や、健常者の前提で回っていく世界への距離感。弱者同士ですら噛み合わない場面の気まずさや理不尽さ。どれも綺麗に整理されていなくて、生々しいまま提示される。そのぶん、読んでいる側の「自分の中でうまく言語化できていなかったしんどさ」に触れてくる感覚があるんです。 個人的には、「生きるために壊れていく身体」という視点が刺さりました。老化とも違う、病とも違う、けれど確かに進んでいく崩れ方。その比喩が、自分の中の“社会に合わせるために摩耗していく部分”とも妙に重なったんですよね。誰かの痛みを理解したふりではなく、距離のあるままでも尊厳を考えることができる本だと思います。 自分の「基準」が他人とずれていると感じて生きづらさを抱えている人には、とくに届く一冊です。

この本に似ている本

すべて見る arrow_right_alt

市川 沙央の他の作品

すべて見る arrow_right_alt
書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

23の国と地域で翻訳決定! 芥川賞受賞作 【2025 国際ブッカー賞ロングリスト】【2025全米図書賞・翻訳文学部門ロングリスト】に選出! 23の国と地域で翻訳決定。話題沸騰の芥川賞受賞作がついに文庫化! 「私の身体は生きるために壊れてきた。」 井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。 両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、有名私大の通信課程に通い、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」と呟く。 ある日、グループホームのヘルパー・田中に、そのアカウントを知られていることが発覚し——。 【文庫版の特徴】 ・ルビを大幅に増やしました。 ・著者が執筆にあたり大きな影響を受けたと語る『凜として灯る』の著者・荒井裕樹氏との往復書簡「世界にとっての異物になってやりたい」(「文學界」2023年8月号)は、大変話題となりましたが、今回新たな書簡を特別付録として追加し、全文を巻末に収録しました。 単行本 2023年6月 文藝春秋刊 文庫版 2025年10月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
library_books似た本をもっと見るmap書籍マップで探すroute読書パスガイドauto_awesomeAI診断で次の1冊を探す

読んだ内容を、もう忘れない。

BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。

無料ではじめる

クレジットカード不要