
「助けて」が言えない---SOSを出さない人に支援者は何ができるか
松本 俊彦
日本評論社 / 201907
この本について
「助けてって言えばいいじゃん」とよく言われるけれど、実際はそんなに単純じゃないよな…と感じる場面が、日常でも仕事でも多いと思います。相手が相談してくれない時、こちらの関わり方が正しいのかよくわからず、空回りしてしまう。支援職でなくても、家族や友人との関係でも同じようなモヤモヤを抱えることがあります。 この本が効いてくるのは、「助けを求めない人」をどう理解し、どう関わるかを、相手の“内側”から丁寧に説明してくれるところでした。たとえば、薬を飲まない理由が「怠慢」ではなく、支援者との関係や入院中の体験と強く結びついていること。あるいは、自傷を“危険な行為”としてだけ見てしまいがちな私たちの視点を、孤独に耐え抜こうとする本人の努力として捉え直すこと。こうした視点の転換が、自分の関わりそのものを静かに変えてくれます。 そしてもう一つ刺さったのは、「先に変わるべきなのは支援する側や仕組みのほうだ」という指摘です。新しい技法に飛びつく前に、安心して人に依存できない背景や、その人が置かれている環境を整えることのほうが大切で、そこをすっ飛ばすと結局うまくいかない。この現実に向き合う姿勢は、自分の日々の関わりにもそのまま返ってきます。 「助けてと言えない人の静かな苦労を理解したい」と感じる人に、とても深く届く本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
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