
いい子のあくび (集英社文芸単行本)
高瀬隼子
集英社 / 2023-07-05
累計読者数3
平均ハイライト数 6件/人
推定読了時間 約2時間1分
star総合評価 48/100
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この本について
人にぶつかられたとき咄嗟によけてしまうとか、誰にも頼まれてないのに気づいてしまって動くとか、本当は納得していないのに「まあ私がやる方が早いし」で飲み込んでしまうとか。そんな場面が積み重なると、自分の中にたまっているはずの苛立ちが、言葉にできないままどこへも行き場がなくなります。私もよくそこで足が止まります。 『いい子のあくび』は、そこで無理に前向きにさせたりしません。むしろ、駅での憎しみみたいな空気や、優しくできる自分とひどい自分が同時に存在する感覚、誰にも見せたことのない“着ぐるみの内側”を、見て見ぬふりをしないまま書いてくれます。読んでいると、なんで私は気づいてしまうんだろうとか、誰のために頑張ってるんだろう、という問いが少しだけ別の角度から見えるようになります。優しさと疲れがごちゃ混ぜのままでも、生きている人間として扱われている感じがするんです。 特に、「わたしがよけたからまっすぐ歩けた人だ」というあの感覚に覚えがある人にはすごく届くと思います。誰かにとって“良い人”を演じ続けて、ふと自分の顔の原形が分からなくなる瞬間がある人にとっては、痛くて、でもどこか救われる小説です。
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出版社による紹介
芥川賞受賞第一作。 公私共にわたしは「いい子」。人よりもすこし先に気づくタイプ。わざとやってるんじゃなくて、いいことも、にこにこしちゃうのも、しちゃうから、しちゃうだけ。でも、歩きスマホをしてぶつかってくる人を除けてあげ続けるのは、なぜいつもわたしだけ?「割りに合わなさ」を訴える女性を描いた表題作(「いい子のあくび」)。 郷里の友人が結婚することになったので式に出て欲しいという。祝福したい気持ちは本当だけど、わたしは結婚式が嫌いだ。バージンロードを父親の腕に手を添えて歩き、その先に待つ新郎に引き渡される新婦の姿を見て「物」みたいだと思ったから。「じんしんばいばい」と感じたから。友人には欠席の真意を伝えられずにいて……結婚の形式、幸せとは何かを問う(「末永い幸せ」)ほか、 社会に適応しつつも、常に違和感を抱えて生きる人たちへ贈る全3話。
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