
DD(どっちもどっち)論 「解決できない問題」には理由がある (WPB eBooks)
橘玲
コアミックス / 2012-03-19
この本について
SNSを見ていると、「どっちが悪いの?」みたいな二択で片づけられない問題ばかりで、正直しんどくなることがあります。自分なりに考えたいのに、背景を知らないまま善悪で語られていく感じにモヤモヤする……そんなときに、この本が少し呼吸を整えてくれました。 橘玲さんの『DD論』は、世界の紛争や価値観の衝突を“どちらかが絶対的に悪い”という前提からいったん離れて見せてくれます。といっても「全部どっちもどっちだよ」と突き放すわけではありません。むしろ、人がそれぞれ“違う事実の世界”で生きてしまう構造を丁寧に説明し、そこで対話が噛み合わなくなる理由を具体的に描いてくれるところが、この本の効きどころだと思います。例えば、イスラエル・パレスチナ問題やホロコースト後の記憶政治のような重たい題材を扱いながら、「なぜ当事者は自分の正義を手放せないのか」という人間側の事情が浮き上がってくる。 読んでいて救いになるのは、単純化した正義のぶつけ合いに疲れたときの“逃げ場”をつくってくれる点です。忘却が共同体の中でどのように機能してきたのか、逆にそれがマイノリティにはどんな暴力になるのか。そういう矛盾を抱えながらも、現実に人はどうやって折り合いをつけてきたのかが、具体的な歴史を通して見えてきます。理想論ではなく、泥くさい現実の話が多いので、自分の判断の軸を少しほぐしてくれる感覚がありました。 善悪だけで語れない問題に触れるたびにしんどくなる人、あるいは「どうしてこんなに議論が噛み合わないのか」と感じやすい人には、静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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