
生きる言葉(新潮新書)
俵万智
新潮社 / 2025-04-17
この本について
仕事でも日常でも、言葉に迷う瞬間ってありますよね。気の利いたことを言いたいわけじゃないけど、うまく伝わらないとか、自分の気持ちがどこにあるのか整理できないまま日々が流れてしまう感じ。僕自身、そういうモヤモヤを抱えているときに、この本を読むと少し呼吸がしやすくなります。 『生きる言葉』は、いわゆる名言集とは違って、ただ正しさを提示してくる本ではありません。子どもの一言にハッとしたり、ドラマのワンシーンの“ずらし”に救われたり、干し柿を作る手間の話で豊かさの感覚が更新されたり。生活の端っこにある出来事や会話が、思いがけずこちらの視点を動かしてくれる。読者が刺さっている抜粋を見ると、まさに「小さな場面のなかに、自分の気持ちを整理するための入口がある」ことに共感しているんだと思います。 個人的に効いたのは、まず「言葉は繰り返されても、その人にとっての初めてになりうる」という視点。米印の比喩のところですね。誰かが同じ話をしてきても、ただの“繰り返し”で片づけないほうがいいのかもしれない、と妙に納得させられました。それから、ユン・セリのシーンにある“ずらし”の優しさ。真正面から言えない気持ちを、少し角度を変えて渡すことで、人はようやく受け取れることがある。最後に、五音七音を「呪縛ではなく魔法」と捉える姿勢。制約のなかでどう遊ぶかという視点は、仕事の文章にも意外と応用できます。 静かだけれど、じわっと残る気づきがほしい人に刺さる本です。言葉に向きあうというより、“日常の見え方が少し変わる”体験に近いかもしれません。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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