
白い巨塔(一)(新潮文庫)
山崎 豊子
新潮社 / 2002-11-20
この本について
仕事でも人間関係でも、「実力だけじゃ動かない場面」に出くわすと、一気に気力が削がれるときがあります。自分の考えより組織の都合が優先される感じとか、誰が何を言うかで評価が変わる空気とか。そんな曖昧さに振り回されて、正直しんどいな…と思う瞬間は、多くの人が抱えているはずです。 『白い巨塔(一)』を読んでいて、保存された抜粋からも伝わるのは、まさにその「矛盾だらけの場所でどう立つか」という問いでした。教授選をめぐる派閥や計算高さ、逆にまっすぐすぎるがゆえに孤立する人の姿。作中の人物たちは誰も“完全な悪”でも“完全な善”でもなく、立場が変われば言動も変わる。その揺れが妙にリアルで、自分の職場を思い出す人もいると思います。実力より空気が動く場面に腹が立つ一方で、ああいう振る舞いに自分も助けられてきたことがある…そんな割り切れなさを丁寧に拾ってくれるんです。 個人的に効いたのは、表向きは堂々としていても内心は小心だったり、自信満々に見える人が実は綱渡りで動いていたりと、「あの人も揺れていたのか」と視点が反転する瞬間でした。誰も完全に正しく立てない世界で、それでも自分はどこに線を引くのかを考えさせられます。正義感 vs 出世欲のような単純な話ではなく、現場で生きる人の迷いや葛藤がそのまま描かれている感じです。 組織の濁った空気に疲れた人、誰かの思惑に巻き込まれて自分を見失いそうな人に静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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