
暴力団(新潮新書)
溝口敦
新潮社 / 2011-09-16
この本について
日々仕事をしていると、「この世界の裏側では何が起きているんだろう」とか、「自分の常識が通じない世界って本当にあるのか」と、妙なざわつきを感じることがあります。知らなくても生きてはいけるけれど、知らないままでいるのも落ち着かない。そんな気持ちにぶつかったときに読んだのが『暴力団』でした。 この本が面白いのは、派手な事件ではなく、組員の年齢や入る動機、資金の流れ、みかじめ料の仕組み、宗教法人を利用するケースなど、表からはまず見えない“実務”の部分が淡々と綴られているところです。抜粋を見ても分かる通り、想像していたよりもずっと泥臭く、そして組織としての論理が粘りつくように存在しています。例えば、二十五歳を過ぎて入った人間は組のリズムに乗れないとか、覚醒剤の売買では携帯電話そのものが資産になるとか、そういう細部が積み重なることで、社会の下層で何が回っているのかが少しずつ立ち上がってくる感じがあります。 読んでいて思ったのは、自分がいつの間にか“綺麗な世界だけで判断しようとしていたな”という視点の偏りでした。別世界の話として距離を置きつつも、社会の影にある動きがどうやって経済や日常にまでつながってしまうのかを理解できるのは、意外と仕事にも効いてきます。たとえば、なぜ特定の業界で価格が歪むのか、なぜ理屈では説明できない慣習が残るのか、そういう場面の見え方が少し変わります。 「社会の裏側を知ることで、自分の足場をもう少し確かなものにしたい人」に刺さる本だと思います。派手さはないですが、淡々と書かれた事実がじわじわ効いてくる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
読書の順序
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