
ミッションの経営学 ホワイトオーシャン戦略シリーズI
田中 道昭
すばる舎 / 2012-10
この本について
組織のミッションって大事なのは分かっているのに、実際の現場では「結局これは経営陣だけが盛り上がっている話では…?」とか、「目標とミッションの違いがよく分からないまま、なんとなく掲げているだけかも」と感じることがあると思います。自分の役割とのつながりが見えないまま日々の業務に追われると、どうしても言葉が空中に浮いてしまうんですよね。 この本が面白いのは、ミッションを“きれいな言葉”としてではなく、実際に組織を動かすためのリアルな道具として扱っているところです。社員一人ひとりの心理にまで踏み込んで、なぜ浸透しないのか、どこでズレるのかを説明してくれるので、「ああ、うちの現場のモヤモヤってこれか」と腑に落ちる場面が多い。特に、経営者だけが熱くなって社員が冷める構図や、トップ自身の言動がミッションと食い違うと一気に信頼が失われる話は、働く側の感覚とまったく同じ目線で語られている感じがしました。 そしてもう一つ実用的なのは、ミッションを“押し付ける”のではなく、“一緒に作ること”がエンゲージメントの鍵だと繰り返し説明されている点です。部署ごとに役割を明確にしながら、会社の使命と自分の使命をどう接続できるかを探るプロセスは、そのまま現場の対話のヒントになります。社員の願いや志向を踏まえて組織の方向性を決めるという発想も、トップダウン一辺倒の会社ほど刺さるはずです。 自分の仕事と会社の存在意義の間で迷いがある人、あるいはミッションづくりが「言葉づくり」で止まってしまっている会社にいる人に、とても実務的な視点をくれる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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