
楊令伝 七 驍騰の章 (集英社文庫)
北方謙三
集英社 / 2011-12-15
この本について
仕事でも人間関係でも、「自分はここぞという時に踏み込みきれないんじゃないか」とか、「理屈ばかり考えて動けなくなる」とか、そんなモヤモヤが積み重なることってありますよね。自信を持てと言われても、そもそも何を拠り所にすればいいのか分からないまま、日々をまわしている人も多いと思います。僕もその一人です。 『楊令伝 七 驍騰の章』を読んでいると、その迷いを真正面から扱ってくれる瞬間がいくつも出てきます。たとえば、肝を据えるとは何かとか、自分にないものではなく「自分にあって相手にないもの」を見る視点とか、理屈を考え尽くしたうえで最後に捨てて踏み込む判断とか。大げさな成功論ではなく、戦場という極端な状況のなかで、人間がどうやって一歩を決めるのかが、ものすごくリアルに描かれています。読んでいると、こちら側の日常にもその感覚がじわっと移ってくるんですよね。 特に響いたのは、「自信はいらない。不安で自分を苛め抜け。最後は眼をつぶれ」という言葉で、これは怖さをごまかすんじゃなく、怖さを抱えたまま動くための姿勢として妙に腑に落ちました。そしてもうひとつ、「人は濡れた砂で作った像のようなものだ」という一文。弱さを前提にしながら、それでも誇りや志をどう扱うかが問われる。こういう描写が、この巻には本当に多いです。 こんな人に刺さると思います。強くなりたいわけじゃなくて、「迷いながらでも前に進める根っこ」を探している人。僕にとっては、背中を叩くというより、黙って隣で歩幅を合わせてくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
読書の順序
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