
死海のほとり(新潮文庫)
遠藤周作
新潮社 / 1983-06-28
累計読者数5
平均ハイライト数 3.2件/人
推定読了時間 約4時間8分
star総合評価 34/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 28%
この本について
自分が選んだはずの道なのに、ふと「これ、本当に自分の意志だったっけ」と立ち止まることがあります。やめたい気持ちと、やめた後に残る空白への不安。その間で揺れて、どちらにも踏み切れないまま時間だけが進む感じ、けっこう苦しいですよね。 遠藤周作の『死海のほとり』を読んでいると、その揺れを無理に整理しようとしなくていいんだと思わされます。主人公たちが宗教との距離をどう扱うかで悩み続ける姿は、信仰の話というより「自分が長年信じてきた価値観が、いつのまにか色あせて見えてしまう」あの瞬間そのものです。見下すことで自分を保ってしまう若い頃の未熟さも、残ったはずのイエス像が腐っていくように感じる中年の迷いも、変わろうとしながらも変わりきれない私たちの日常に重なります。 この本が効くのは、葛藤をきれいに解決してくれるからではなく、むしろその「決着のつかなさ」を正面から描くからです。人は四十を過ぎても、いや過ぎてからこそ、自分だけの意味を探し直すことになる。その当たり前の現実を、少し静かな温度で受け止められるようになります。 長く信じてきた考え方にうっすら違和感が出てきた人に刺さる一冊です。
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出版社による紹介
戦時下の弾圧の中で信仰につまずき、キリストを棄てようとした小説家の「私」。エルサレムを訪れた「私」は大学時代の友人戸田に会う。聖書学者の戸田は妻と別れ、イスラエルに渡り、いまは国連の仕事で食いつないでいる。戸田に案内された「私」は、真実のイエスを求め、死海のほとりにその足跡を追う。そこで「私」が見出し得たイエスの姿は? 愛と信仰の原点を探る長編。
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