
下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち (講談社文庫)
内田樹
講談社 / 2009-07-15
この本について
最近、「なんでこんなに人と話が噛み合わないんだろう」とか、「努力って本当に報われるのか…」みたいな、小さくて言葉にしづらいモヤモヤが積もりがちです。誰が悪いとも言い切れないし、自分だけがズレている気もする。でも社会全体の空気のようなものが、確実に自分の判断や気力に影響している。そんな感覚を持つ人は多いと思います。 内田樹さんの『下流志向』は、その「空気」に名前を与えてくれる本でした。たとえば、わからないことをわからないままにしておけず、即答を求められる窮屈さ。あるいは、選択を強制されているのに「自己決定した以上は自己責任で」と言われる理不尽さ。読者が保存していた部分を見ると、みんなこの「気づいているのに説明しづらい矛盾」に反応しているんだと思います。 読んでいていちばん効いたのは、子どもや若者を怠け者だと切り捨てるのではなく、彼らが置かれている構造そのものを丁寧に読み解いていくところです。「努力は報われる」と日々確認できる層と、「努力しても意味がない」と実感させられる層が分かれていく仕組みが描かれるあたりは、自分の過去の選択の理由まで照らされる感じがありました。また、「ノイズしか発信できない子ども」の話や、家庭内で不機嫌さが権力になる構造など、日常の風景を通じて気づきをくれる点も大きいです。 社会の変化に置いていかれている気がする人、あるいは「自分の感じている違和感に名前をつけたい人」に刺さる一冊だと思います。現実が急に明るくなるわけではないけれど、少なくとも今の自分の立ち位置が少し見えるようになる、そんな本でした。
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多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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