
身体調整の人間学
高岡 英夫
恵雅堂出版 / 19880920
この本について
仕事でも日常でも、人と向き合うときに「どこまで自分を出していいのか」「相手に合わせすぎて疲れる」といった戸惑いが出ることがあります。私もずっとこの感覚の正体がつかめずにいたのですが、『身体調整の人間学』を読んでいると、身体のレベルで起きている“曖昧なあいだ”にこそヒントがあるんだと気づかされました。 特に刺さったのは、自分が押しているのか押されているのか分からなくなる瞬間の描写です。力の流れが反転し、境界がふっと曖昧になるあの感じって、対話でも仕事でも実は起きているんですよね。こちらが主導しているようで、いつのまにか相手に導かれていたり、逆もあったり。本書はその“あいだ”の現象を、哲学と実際の身体感覚の両方から丁寧に扱っていて、抽象論だけで終わらないのがすごく助かりました。 もう一つ大きかったのは、<構え>という考え方です。姿勢のことではなく、その人全体のあり方としての構え。これが微妙にかみ合わないと、どんなに気をつけても関係がぎこちなくなる。でも、相手と自分の構えが出会う“場”に意識を向けると、力みが抜けて関係の質そのものが変わってくる。著者が体験として書いている、呼吸が自然に揃ってくる瞬間の描写は、読んでいて妙に腑に落ちました。 自分と他者の境界が固定ではなく、ゆるく入れ替わるような働きで成り立っているんだと実感したい人に刺さる本だと思います。抽象に振り切らず、でも身体だけにも閉じない、そのバランス感がすごく現実的で、読んだあとに人との距離の取り方が少しだけ変わりました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
読書の順序
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