
黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 (講談社+α文庫)
橘玲
講談社 / 2011-10-20
この本について
投資まわりの情報を追っていると、「結局なにを信じればいいのか」「合理的に動こうとしているはずなのに、いつも予測が外れる」といったモヤモヤがつきまといます。自分の判断が間違っているのか、市場が狂っているのか、その境目もだんだんわからなくなってきます。 橘玲さんの『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』は、その混乱をすっきり整えてくれる…というより、「世界はそもそもこういう理不尽さで動いている」と視点を少しズラしてくれる本でした。たとえば、市場は合理的なようで不合理な投資家の集まりでもあり、原因と結果がきれいに対応しない複雑系の世界だという指摘は、自分の失敗の理由を“自分の未熟さだけ”に結びつけがちな気持ちをふっと軽くしてくれます。また、通貨や株価の仕組みを歴史やネットワーク理論から説明してくれるので、「値動きを当てる」のではなく「どういう前提の上で生きているのか」を理解する方向に意識が向きました。 読んでいて面白かったのは、プライベートバンクやREITの話のように、一見専門的な領域が、実は私たちの日常の延長線上にあるとわかるところです。住宅ローンを抱える生活者のリスクと、仕組みを使って分散する投資家側のリスクが地続きで語られていて、「投資は遠い世界」という感覚が薄れていきました。 自分の判断に自信が持てない人よりも、「市場そのものの仕組みに納得できないまま投資を続けている人」に刺さる本だと思います。世界の不確実さとどう折り合うか、という長い目の問いに、一つ視界を広げてくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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