
ガダラの豚 II (集英社文庫)
中島らも
集英社 / 1996-05-17
この本について
日常でふと、何かうまくいかないことが続いた時に「理由はあるはずなのに、うまく言葉にできない気味の悪さ」ってありませんか。論理では説明できないけど、確かに自分の中で作用している何か。その存在を認めるのはちょっと怖いけれど、無視していると逆に振り回されるようなやつです。 『ガダラの豚 II』を読んでいて刺さるのは、まさにその“境目”の感覚を扱っているところでした。水面みたいに、あるようでない、でも確かに人生に影響を落とすもの。呪術の話なのに、読んでいると「あ、これ自分にもある」と変に納得してしまいます。言葉が魂の欠片みたいに作用するとか、他人のねたみが人を弱らせるとか、説明しにくい現実を、過度に神秘化せずに描いてくれるんですよね。しかも、鍼灸みたいに身体の反応として“効いてしまう”場面が出てくると、理屈だけでは処理できない世界を丁寧に掘っているのが伝わってきます。 読みながら思ったのは、「世界をどう捉えるか」で自分の行動が微妙に変わるということでした。たとえば、言葉を投げるときに少しだけ慎重になれるとか、不安の正体を“呪い”ではなく文化や関係性の働きとして見直せるとか。怖さの仕組みを知ることで、過剰に怯えずに済む感覚があります。こういう視点が得られるので、迷いながら日々を進めている身としてはけっこう助かりました。 人間の「説明しきれない部分」に折り合いをつけたい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
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