
大学の話をしましょうか 最高学府のデバイスとポテンシャル (中公新書ラクレ)
森博嗣
中央公論新社 / 200510
この本について
大学って、外から見ていると「結局なにをしている場なんだろう」とか、「教える側の本音ってどこにあるんだろう」とか、妙にモヤモヤすることがありますよね。自分が学生でも、親になっても、あるいは教育から離れていても、このあたりの感覚って意外と残り続ける気がします。何となく抱えている違和感に、名前がつかないまま積み重なっていく感じというか。 森博嗣さんの『大学の話をしましょうか』は、そういうモヤモヤに対して、肩の力を抜きつつも芯のある視点をくれる本でした。たとえば、「教育は先生が衰えた姿ではなく、第一線の力を見せるもの」という話は、教える側の姿勢についてガツンと言っているようで、でも現場を生きてきた人の実感がにじんでいます。さらに、学生に質問を一つ考えさせることの意味を語る場面では、教えるとは“与える”ことではなく、“気づかせる仕掛けを置くこと”なんだと、実際の行動に落とし込んで示してくれます。そして、研究テーマが「ほとんど創作みたいなもの」になってしまう構造の話は、大学が抱える現実を妙に生々しく説明してくれて、逆に安心したりもしました。 この本が効くのは、「大学って何のためにあるのか」「学ぶってどういう行為なんだろう」と一度でも立ち止まったことのある人だと思います。理想論だけでなく泥臭さも含めて語っているので、きれいごとに疲れた人にも落ち着いて読めるはずです。 個人的には、学問をするのは“誰かのため”ではなく“自分が楽しいから”という一言が、妙に救いになりました。正しさや効率ばかり求めがちな今こそ、こういう視点が刺さる人は多いはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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