
NHK「100分de名著」ブックス アインシュタイン 相対性理論
佐藤 勝彦
NHK出版 / 2014-03-22
この本について
仕事や日常の中で、「自分の見えている世界って本当に正しいんだろうか」とモヤッとすることがありませんか。相手のペースに振り回されたり、状況の捉え方が人によってまったく違ったりすると、自分の基準が揺らいでしまうあの感覚です。そんなときに相対性理論の話を読むと、物理の本なのに妙に心が落ち着く瞬間があります。絶対的な視点なんてそもそも存在しない、という考え方に触れるからだと思います。 この本が面白いのは、難しそうな理論をただ説明してくれるだけではなく、「私たちは常に相対的な視点からしか世界を見られない」という当たり前を、物理の具体例を通して実感させてくれるところです。たとえば、動くものの時間が遅れるとか、重いものの周りでは時空が曲がるとか、一見荒唐無稽に見える話が、GPSの仕組みや日常の運動の見え方にしれっと結びついてくる。このあたりが、読者が抜粋したくなる理由なんだろうなと思います。自分の感覚が揺れるのは当たり前で、むしろ「どこを基準に見るか」をその都度選んでいるだけなんだ、とふっと腑に落ちる瞬間があります。 もう一つ個人的に刺さったのは、アインシュタインですら当時の常識に縛られたというくだりです。どれだけ賢くても、思い込みから逃れられない。だからこそ、自分の考え方が固まってしまう瞬間があっても不思議じゃないし、そこから抜け出すための手がかりとして本を読む価値があると感じました。 自分の見えている世界の「当たり前」に少しでも違和感がある人に、静かに効いてくる一冊です。
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