
国盗り物語(四)(新潮文庫)
司馬 遼太郎
新潮社 / 1971-12-22
この本について
仕事でも人間関係でも、「自分のまっとうさが、かえって状況を読みそこなってるんじゃないか」と不安になる瞬間があります。慎重でいるつもりが、決断の遅さになっていたり。相手の機微を察するのが苦手で、気づけば場の流れに取り残されていたり。頭ではわかっているのに、一歩が踏み出せない。そんなモヤモヤは、意外と誰もが抱えているものだと思います。 『国盗り物語(四)』の抜粋を眺めていると、光秀の小心さや「立技だけの男」と評される一面的な感覚、信長や藤吉郎のように空気を読み切るタイプとの差が、生々しいほど描かれています。歴史上の大事件の裏側に、こんなに人間臭い逡巡やすれ違いが積もっていたのかと気づくと、自分の悩みも決して特別ではないと感じられます。決断のタイミングを読み違える苦しさや、理想と現実の差に戸惑う姿は、そのまま現代の私たちの状況にも重なります。 さらに、この巻が効くのは「力量があるのに運や状況に恵まれないと、人はどう振る舞うのか」という点をリアルに見せてくれるところです。器量があっても英雄になれない、計算ができても突っ切れない、そんな“あと一歩の欠け”がどう未来を左右するのかが、物語としてではなく心理の積み重ねとして描かれています。だからこそ、自分の行動のどこが弱いのか、どんな癖が意思決定を曇らせているのかを静かに考えるきっかけになります。 歴史ものに馴染みがなくても、「慎重すぎる自分に心当たりがある人」「まっとうであることが武器にも弱点にもなる人」には、するどく刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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