
国盗り物語(二)(新潮文庫)
司馬 遼太郎
新潮社 / 1971-12-22
この本について
仕事でも人間関係でも、正解のない場面に放り込まれると、自分の判断に自信が持てなくなることがあります。人の目が気になったり、ほんとうにこれでいいのかと迷ったり。かといって強く振る舞えばいいわけでもなく、心の中はいつも揺れっぱなし。そういう時に、戦国の群像を描いた物語が意外と効くことがあります。 『国盗り物語(二)』を読んで感じたのは、人物たちの「行動の理由」がとても生々しいということです。斎藤道三の「約束を破らない信こそがすべて」という考え方や、「人は名分がほしい」という指摘は、時代を超えて刺さります。誰だって行動を正当化したくなるし、背中を押す“理由”を探してしまう。その癖を、物語の中でまざまざと見せられるような感覚があります。さらに、気運が来るまでの地道な準備や、好機が来たときに一気に駆け上がる行動力など、現代のキャリアにも通じる部分が多いのが面白いところです。 そしてもう一つ、この本が効く理由は「人間の弱さ」を正面から扱っている点です。恩を忘れやすく、移り気で臆病で、利に走りがち。そんな特徴を並べられると耳が痛いのですが、登場人物たちも同じように揺れたり迷ったりしながら、それでもやるべきことに向かっていく。その姿に、自分の弱さごと抱えて前に進めばいいのかもしれない、と少しだけ思えるようになります。 自分の判断軸を持ちたいけれど、強がるだけではどうにもならない人。そんな方には、戦国の濃密な空気の中でうごめく人間の等身大の姿が、静かに効いてくる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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