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空白を満たしなさい(下) (講談社文庫)

空白を満たしなさい(下) (講談社文庫)

平野啓一郎

講談社 / 2015-11-13

累計読者数10
平均ハイライト数 5.1件/人
推定読了時間 約3時間41分
star総合評価 43/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 34%

この本について

なんとなく自分が何に疲れているのか分からないまま日が過ぎていく時ってありますよね。仕事では平気な顔をしていても、家でのしんどさが残っていて、気づけば全部がしんどくなる。あるいは、ふと「今の自分は本当に自分なのか」と立ち止まりたくなる瞬間がある。そんな時、この小説の言葉がゆっくり効いてきます。 この本は「死んだはずの自分」が生き返るという設定なんですが、読み進めるうちに、テーマはむしろ“生きている時の自分の扱い方”なんだと気づきます。たとえば、分人ごとに疲れるのに、体のコップはひとつしかないという話。これは、会社用の自分や家族用の自分を切り替えるのがうまくても、結局ひとつの身体に負荷が溜まっていく現実を、妙に正確に言い当てています。また、嫌な自分が出てきた時に「消そうとしないで、別の自分で見守ればいい」という視点は、無理に前向きになるよりずっと地に足のついた救い方だと思いました。 さらに、誰かの死や弱さを「責めない」という姿勢も印象に残ります。人間の苦悩を軽く扱わない視線があって、だからこそ、自分の中の複雑さをそのまま持ち込んでいい場所のように感じました。 今の自分にどこかしっくりこない人、あるいは“いくつもの自分”に振り回されている気がする人には、静かに刺さると思います。読後に急に人生が変わるような派手さはないけれど、しばらく心の底で息をし続ける言葉が拾える一冊でした。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

ある夜、勤務先の会議室で目醒めた土屋徹生は、帰宅後、妻から「あなたは3年前に死んだはず」と告げられる。死因は「自殺」。家族はそのため心に深い傷を負っていた。しかし、息子が生まれ、仕事も順調だった当時、自殺する理由などない徹生は、殺されたのではと疑う。そして浮かび上がる犯人の記憶……。
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