
空白を満たしなさい(上) (講談社文庫)
平野啓一郎
講談社 / 2015-11-13
累計読者数6
平均ハイライト数 10件/人
推定読了時間 約3時間41分
star総合評価 57/100
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この本について
最近、人との距離感とか、過去の出来事の重さをどう扱えばいいのか分からなくなる時があります。会わなくなった人を「まだどこかにいる」と思うのと「もういない」と受け取るのは、実は紙一重だったりして。自分の中でだけ時間が止まってしまったような、あの妙な空白にどう向き合えばいいのか、僕自身ずっと迷っていました。 『空白を満たしなさい(上)』は、主人公が“死んでいたはずの自分”に追いつこうとする物語なんですが、その過程で、自分でも説明しづらい感情の正体がふっと輪郭を持ちはじめます。生きている人間だけが変わっていき、死んだ人は同じ逸話の中で固定されてしまうという描写は、僕らがどれだけ「他人の記憶」の中で生きているのかを静かに突きつけてきます。また、「亡くなる」ではなく「無くなる」と捉えてみる祖母の姿には、死を恐怖ではなく“存在の薄まり”として受け取る別の視点があり、これは身近な人の老いを前にした時の戸惑いに、そっと言葉をあててくれました。さらに、主人公が自分の死を“他人によって語られた物語”として知る場面は、僕らが普段、どれだけ他人の言葉に自分の輪郭を委ねているかを思い知らされます。 誰かとの関係が止まったまま心に残っている人や、過去の自分と現在の自分が噛み合わない感覚を抱えている人には、特に静かに効いてくる本だと思います。
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出版社による紹介
ある夜、勤務先の会議室で目醒めた土屋徹生は、帰宅後、妻から「あなたは3年前に死んだはず」と告げられる。死因は「自殺」。家族はそのため心に深い傷を負っていた。しかし、息子が生まれ、仕事も順調だった当時、自殺する理由などない徹生は、殺されたのではと疑う。そして浮かび上がる犯人の記憶……。
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