
坂の上の雲(四) (文春文庫)
司馬遼太郎
ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2009-11-01
この本について
仕事でも生活でも、自分の判断がこれでいいのかよく迷います。机の前では正しく見えた計画が、現場に出た瞬間に通用しない感じとか、周りに迷惑をかけないように慎重になりすぎて動けなくなる感じとか。そんなときに『坂の上の雲(四)』を読むと、当時の軍人たちの迷い方や決断の仕方が、妙に現実っぽく響いてきます。英雄物語として読むというより、人がどうやって責任と向き合うかの物語なんですよね。 たとえば、奥保鞏が細かく口を出さず、必要な瞬間にだけ決断する姿勢は、「全部を自分で抱え込もうとしがちな自分」をいったん立ち止まらせてくれます。逆に児玉のように、誰よりも状況を背負いながらも、最前線で新兵器の脅威を確かめに行くような人もいて、机上と現場を往復しながら判断するとはこういうことか、と腹に落ちます。作戦や勝敗の話というより、人が極限でどうバランスを取るのかの描写が多いので、読みながら自分の小さな葛藤に照らし合わせてしまいました。 組織の中で立場が上がるほど「揺れちゃいけない」と思いがちですが、ここに出てくる指揮官たちも普通に迷うし、ときに間違えます。そのうえで、最後の一押しは結局「天賦のかん」に頼らざるを得ない、という描き方が妙に救いになる。完璧じゃなくても前に進むしかなかった時代の人間臭さに触れると、自分の判断の粗さもまあ許せるか、と思えてきます。 特に「責任を負う立場にいながら、慎重と大胆の間で揺れている人」には刺さる巻だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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