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52ヘルツのクジラたち

52ヘルツのクジラたち

町田そのこ

累計読者数8
平均ハイライト数 21.9件/人
star総合評価 67/100
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この本について

「誰にも届かない感じがして、言葉を飲み込むことが増えたな」と思う日ってありませんか。誰かに憐れまれるのが怖くて黙ってしまったり、昔の傷がまだ心のどこかで疼いていたり。大丈夫だと思って生きていても、ふとした瞬間に自分の声がどこにも届いていない気がして、胸がざわつくことがあります。 『52ヘルツのクジラたち』は、そういう“届かなさ”を抱えたまま大人になった人間が、他者との関わりの中で少しずつ呼吸を取り戻していく物語です。読者が保存していた抜粋を見ていると、親からの愛を求め続けた痛みや、大人を警戒してしまう感覚、自分の瓶には何も入っていなかったと思ってしまう虚無……そういう部分に強く反応しているのが伝わってきます。この本の効き方は派手ではなくて、むしろ静かです。でも、静かなまま深く刺さる。 たとえば、自分の中で押しとどめてきた思いを「全部聞いてる」と受け止めてくれる存在に出会う場面は、他者と関わる怖さを抱えたままでも、一歩だけ前に進めるかもしれないという視点をくれます。また、善意と依存の線引きについて繰り返し描かれるのも印象的で、「助けたい」「救われたい」の境界が曖昧になる瞬間を丁寧に扱ってくれるので、過去の人間関係をそっと見つめ直すきっかけにもなる。さらに、孤独の匂いを持つ者同士が出会ったときの、言葉のいらない理解のようなものが描かれていて、自分の弱さを責め続けてきた人には特に沁みると思います。 孤独を抱えたまま、誰にも迷惑をかけないように生きてきた人に刺さる本です。読後、すぐに何かが変わるわけではないけれど、自分の声は本当に届かなかったのか、それともただ届く場所を知らなかっただけなのか。そんなことを静かに考えさせてくれます。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

2021年本屋大賞第1位。待望の文庫化。 52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一匹だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。そ のためこの世で一番孤独だと言われている。 自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。 〈解説〉内田剛
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