
あのこは貴族 (集英社文庫)
山内マリコ
幻冬舎 / 2019-05-25
累計読者数12
平均ハイライト数 5.7件/人
推定読了時間 約6時間12分
star総合評価 57/100
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この本について
東京で生きていると、自分の立ち位置がよくわからなくなる瞬間ってありませんか。努力してるつもりなのに、見えない秩序みたいなものにぶつかって、なんとなく置いていかれる感じ。あるいは、女性同士の関係が妙にギスギスして見えて、自分の気持ちまで濁っていく感じ。あのこは貴族を読んだ人が抜き出している言葉を見ると、まさにその「説明しづらい生きづらさ」に反応しているんだと思います。 この小説が効くのは、明確な解決策が書いてあるからではなく、階級やジェンダーの差が、日常の細部にどう滲むのかを静かに可視化してくれるところです。たとえば、本人は普通だと思っている“良家”の感覚が、外側から見るとどれだけ閉じているか。あるいは、地元に帰ったときの妙な懐かしさと窮屈さが、東京の上流コミュニティにもそっくり存在していることに気づかされるところ。さらに、女同士の競争心がどこから植えつけられ、どうやって自分の心を追い詰めていくのかを、誰の味方にもならず描いてくれるところ。 こういう視点を知ってしまうと、自分のモヤモヤを「個人の欠点」だと思わなくてよくなるし、他人の背景の見え方も少し変わります。とくに、なんとなく周りと比べて消耗しやすい人、育ちや環境の差を言語化できず飲み込んでしまいがちな人には刺さると思います。 自分のいる場所の“空気”に疲れたとき、距離を置いて考えるきっかけになる一冊でした。
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出版社による紹介
東京生まれの箱入り娘・華子は、結婚を焦ってお見合いを重ね、ついにハンサムな弁護士「青木幸一郎」と出会う。一方、地方生まれの上京組・美紀は、猛勉強の末に慶應大学に入るも金欠で中退。現在はIT企業に勤めながら、腐れ縁の「幸一郎」との関係に悩み中。境遇の全く違う二人が、やがて同じ男をきっかけに巡り会い―。“上流階級”を舞台に、アラサー女子たちの葛藤と解放を描く傑作長編。
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