
ユニクロ潜入一年 (文春文庫)
横田 増生
文藝春秋 / 2020-08-05
この本について
仕事をしていると、ときどき「この会社の仕組みって、本当にこんな感じで回ってるんだろうか」と胸の奥がざわつくことがあります。数字や効率だけが優先されて、人の気持ちや現場の空気が置き去りになっていくあの感覚。自分の働き方に自信がないわけでもないのに、どこか落ち着かないまま日々が過ぎていく。あのモヤモヤに名前をつけられないままでした。 『ユニクロ潜入一年』を読んで、少なくともその正体の一部には触れられた気がします。たとえば、人件費を限界まで変動費化しようとする仕組みや、「倒産する」という言葉ですら現場管理の道具になってしまう構造。これらを数字抜きのリアルな現場描写で見せつけられると、自分が普段働いている環境の裏側にも、似たような力学が潜んでいるんじゃないかとハッとします。また、会社が従業員の言動をどこまでコントロールできるのか、守秘義務や裁判の話を通じて考えさせられる場面も多く、働くうえでの「線引き」を改めて確認するきっかけになりました。 さらに心に残ったのは、現場のアルバイトまでが企業文化に染まり、無意識に厳しさを他人へ向けてしまう描写です。自分も同じような空気の中にいたかもしれないと思うと、ちょっと背筋が伸びるような感覚がありました。企業文化って、トップの言葉よりも日々の態度で静かに浸透していくんだなと。 組織の中で「なんとなく息苦しい」と感じている人に、静かに刺さる一冊だと思います。
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