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海辺のカフカ(上下)合本版(新潮文庫)

海辺のカフカ(上下)合本版(新潮文庫)

村上春樹

平凡社 / 2006-05-10

累計読者数16
平均ハイライト数 22.3件/人
推定読了時間 約5時間40分
star総合評価 64/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 36%

この本について

知らない道を選んだとき、ふと立ち止まって「これでよかったんだろうか」と胸がしめつけられる瞬間ってありますよね。周りは当然のように正しいルートを歩いているのに、自分だけ別のレールに乗ってしまったような心細さ。僕も仕事でも生き方でも、そういう感覚に何度も足をとめられてきました。 『海辺のカフカ』を読み返すと、その不安がそのまま物語のかたちになっていて驚きます。主人公が図書館という“世界のくぼみ”みたいな場所に身を置きながら、自分という入れ物の輪郭を確かめていく感じ。何かを選んだから自由になったはずなのに、自由の意味がよくわからなくて、ただ孤独だけが先にやって来るあの感じ。読みながら、自分の中の揺れも少し整理されていくんです。 この本が効くのは、世界から距離をとりたいときに、現実逃避ではなく“視点”を貸してくれるところです。完璧な鑑識眼なんてないという登場人物の言葉は、他人の評価や正解を追い過ぎていた思考をふっと緩めてくれるし、砂嵐の比喩は「変化は制御できないけれど、その中を通り抜けた自分には必ず何かが残る」という静かな確信をくれます。図書館に身を置く主人公のように、自分の中のノイズが一時的に薄くなる瞬間があるのも大きいです。 自分の進み方に迷っている人、あるいは「ひとりで歩く感じ」を誰かに言語化してほしい人には、特に刺さると思います。僕自身そうですが、答えを教えてくれる本ではなくて、迷っている状態のまま読める本を探しているときに、ちょうどいい距離で寄り添ってくれます。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日本、アメリカ、中国等で大ヒットした『海辺のカフカ』。カフカ少年とナカタさんのパラレルな物語に”癒し”や”救い”を感じた人も少なくなかった。けれども、本当にそういった内容なのだろうか?丁寧なテクスト分析によって、隠された構造が浮かび上がる。暴力が前面に現れつつある「九・一一」後の世界に、記憶と言葉の大切さを訴える、渾身の村上春樹論。
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