
名著の話 僕とカフカのひきこもり (角川学芸出版単行本)
伊集院 光
KADOKAWA / 2022-02-16
この本について
最近、「みんなと同じ悩みを抱えていれば安心だけど、いったん自分だけの問題に入った瞬間、急に心細くなる」という話をよく聞きます。年齢に関係なく、ある日ふっと“人生の後半に入ってしまった気がする”あの感じ。正解を探そうとすると苦しくなるし、かといって自分の考えに自信が持てるわけでもない。僕自身もそこで右往左往してきました。 伊集院光さんの『名著の話 僕とカフカのひきこもり』は、その“右往左往している最中の人”に寄り添うような本でした。深いところに触れている内容なのに、どこか生活の延長線上で語られている感じがあって、読みながら「自分だけじゃないんだな」と何度も息がゆるむ。たとえば、亡くした人が自分の中に“新しく生まれる”ように感じる話や、文学が他者とのつながりをそっと回復させる話は、言葉にしづらい経験を代わりに扱ってくれるようでした。また、「生きがいは誰かと同じ形にはならない」という視点も、比較の癖が強い人ほど心が軽くなるはずです。 無知をさらけ出しても対話が成立する場の尊さや、「みんなと同じ前半」から「自分だけの後半」に切り替わる瞬間の戸惑いが、そのままの温度で語られています。答えを押しつけられる感じがなく、むしろ“迷ったまま読んでいい”と背中を押してくれるような本です。 自分の悩みがうまく言葉にならない人、あるいは誰かの孤独を勝手に理解した気になりたくない人に、静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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