
ツミデミック
一穂 ミチ
講談社 / 2023-11
この本について
最近、誰かの“正しさ”や“強さ”に合わせるのがしんどいなと思うことが増えました。自分の弱さや情けなさを人に見せるのは怖いし、状況がこじれるほど「どこから戻ればいいのか」わからなくなる。そういう時って、励ましの言葉よりも、もう少し泥だらけで不格好な物語のほうが心に入ってくる気がします。 『ツミデミック』は、まさにその泥の中でもがく人たちを、まっすぐ描いています。読者が保存している抜粋を見ても、みんなが刺さっているのは“極端な状況”そのものではなく、追い詰められたときの人の弱さや、ふと漏れる本音のほうなんですよね。たとえば、我が子に薬を盛ろうとする直前の「わたしは何をやってるんだろう」という自己嫌悪とか、誰かの優しさにやっと触れた瞬間にだけ染み込んでくる「頑張れ」という言葉とか。あるいは、死の淵で見た光にすがりたくなるほど疲れ切った感覚とか。どれも大げさなドラマじゃなくて、追い詰められた人間のごくリアルな揺れなんだと思います。 この作品は、現実的な救いを投げてくる本ではありません。ただ、弱さや矛盾ごと人を見つめるまなざしがあって、自分の中の“見たくない部分”にも少しだけ風が通る。人の決断の残酷さも、同時に残る優しさも、どちらも嘘なく描かれていて、読んだあとに「自分もまだ大丈夫かもしれない」と思えました。 しんどい現実の中で、誰にも言えない感情を抱えたまま歩いている人に刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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